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被災鉄道の復旧 新たな需要を創出したい | 社説 | コラム - 熊本日日新聞

 7月の豪雨で被災した県南地域の3鉄道は、発災1カ月半となる今も不通が続く。このうち第三セクターの肥薩おれんじ鉄道は11月ごろの全線再開を見込むが、同じ三セクのくま川鉄道とJR肥薩線は鉄橋の流失など被害が大きく、復旧の見通しが立っていない。

 いずれも地域の生活と観光を支える重要な交通インフラである。ただ赤字運行が慢性化しており、過疎化が進む中で路線をどう維持していくのかは、被災前から課題だった。鉄路復旧を機に地域全体で新たな需要の創出に知恵を絞り、被災地の振興につなげたい。

 くま川鉄道は、球磨川第四橋梁[きょうりょう](相良村・錦町)が流失し、人吉温泉(人吉市)-湯前の全線(24・8キロ)が運休している。

 肥薩線は球磨川第一橋梁(八代市坂本町)と第二橋梁(球磨村)が流され、瀬戸石駅(坂本町)は駅舎もろとも濁流にのまれた。八代-吉松(鹿児島県湧水町)の86・8キロが不通となっている。

 これらの不通区間をどう復旧していくか。九州では熊本地震以降の復旧事例で三つの道筋が示されており、選択肢となろう。

 一つは、地震で被災し今月8日に全線再開したJR豊肥線のケース。2018年施行の改正鉄道軌道整備法を活用し、約50億円の復旧費を、国と地元自治体が4分の1ずつ負担した。

 23年夏の全線再開を目指す三セクの南阿蘇鉄道は、最大70億円を見込む復旧費の97・5%を国が支援する。鉄道施設を自治体などが保有する「上下分離」方式の導入などを条件にした特例だったが、その後制度化された。

 17年の九州北部豪雨で被災したJR日田彦山線は鉄路での復旧を断念し、バス高速輸送システム(BRT)を導入する。事業費は25億円程度と見込まれ、全額をJR九州が負担する。

 今回、くま川鉄道については、南阿蘇鉄道と同様の支援制度を活用する方向で県と沿線市町村が協議に入った。肥薩線は、JR九州が今後、関係自治体の意向も踏まえて再建の在り方を探るという。

 肥薩線は、温泉地でアニメの「ロケ地」としても人気の人吉市を通り、同社も観光列車「SL人吉」や「かわせみ やませみ」などを走らせるなど重要な観光路線として位置付けてきた。

 ただ同社が5月に公表した18年度の線区別収支によると、八代-人吉間は5億7300万円の営業赤字。沿線自治体と路線維持に向けた協議を始めたばかりだった。

 コロナ禍も重なる厳しい経営環境で復旧を望むには、沿線地域にも鉄道の存在感を高める努力が求められる。鉄道駅を起点とした観光プランを充実させるほか、駅周辺に役場機能や医療機関を集約するなど、住民の日常的な利用頻度を高める工夫も必要ではないか。

 県は近く「県南復興局」を新設し、復旧・復興プランを策定するという。被災地の将来像を描く際には、鉄道を使い勝手のよい「生活の足」として再生させる方策も練り上げてもらいたい。

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August 16, 2020 at 05:11AM
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