不動産デベロッパーのジョン・ロー氏は、米ニューヨーク・マンハッタンに建設中の7室のコンドミニアムの購入者が、来年夏ごろの完成時に足を踏み入れた際、深く息を吸い込み、満足した気分になってほしいと考えている。なぜなら同氏は空気の質を追求し、そこに出費を惜しまないからだ。
瀟洒(しょうしゃ)な建物「シャーロット・オブ・ジ・アッパー・ウエスト・サイド」は、空気を通さない外郭構造を持つ。新鮮な空気を取り込んで気温を調節し、フィルターを通過させ、紫外線で処理してから常時、室内にポンプで送り込み、同時に同じ量の使用済みの空気を放出するのだ。もし居住者が心配ならば(例えば、昨夜のディナーの来客が何度もくしゃみをしていたなど)、自室の換気性能を120%高めることもできる。この物件の購入者は、自分の吸い込む空気がどれほど特別なものかを実感するだろう。空気の質は、付随施設や高級感と同じくマーケティングの手段になる。このシステムを手の込んだ図表やアニメーションで解説すればなおさらだ。
この素晴らしい空気のお値段はいかほどか? 最低価格の部屋でも1100万ドル(約11億5000万円)で売り出す予定だ。もちろん立地や部屋の広さ、ぜいたくな内装が価格の主な要因だが、空気システムも決して安くないとロー氏は話す。ただし、不動産業界でかつてエリート物件の特徴とされたルーフデッキやジム、ステンレス鋼と同様、この技術もすでに採用例が増え、コストは低下しつつある。新型コロナウイルスがその潮流に拍車をかけた。
建設中のコンドミニアム「シャーロット・オブ・ジ・アッパー・ウエスト・サイド」では、たとえ窓を閉めていても全ての部屋で空気が1日13回完全に入れ替わり、居住者がアプリの「加速」ボタンを押せば、最大で1日28回まで増やせる。建物に入る新鮮な空気はフィルターを通過し、紫外線を照射され、適切な湿度と居住者が設定した温度に調節される
Photo: Edward Ubiera米大手デベロッパーの幹部は、こうしたシステムが2030年までにあらゆる住宅開発で一般的になるとの見方を示す。
一方でいくつか疑問も残っている。どのような技術が最も効果的でコスト(費用およびエネルギー使用量)に見合う価値があるのか? また住宅購入者は新型コロナが日常生活に影響を及ぼさなくなっても、空気の質を気にかけるだろうか?
「空気の質は今や、買い手の念頭にある」と話すのは、米不動産仲介会社コーコラン・グループの不動産開発部門コーコラン・サンシャインの最高プランニング設計責任者、エリサ・オーランスキー・アワーズ氏だ。同氏の顧客であるデベロッパーは公共スペースや私的スペースの空気をいかにフィルター処理し、殺菌するかを模索しているという。
現在の最先端技術であり、価格低下と共に普及し始めているのが、「エネルギー回復換気装置」だと、エネルギー管理コンサルティング会社ブライトパワーのニューヨーク担当エグゼクティブバイスプレジデント、アンドレア・マンチーノ氏は話す。この換気システムは、建物が外に放出する熱風からエネルギーを回収し、フィルター処理して戻ってくる新鮮な空気を暖めたり冷却したりするのに利用する。
空気の質の専門家は、米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)が4月に推奨した「MERV13」または「MERV14」のフィルターが広く導入されれば、主要な微粒子問題に対応するのに十分だとの見方を示す。MERV(最小効率報告値)はフィルターの性能を示す基準だ。
コロナのパンデミック(世界的大流行)を機に注目が集まっているのが、有害な微粒子を取り除くだけでなく、紫外線(UV)照射や光酸化、イオン化といった殺菌処理を施すシステムだ。今後の研究により、家庭で利用するにはどの手法やシステムが最も効果的かが明らかになると期待されている。
「レークハウス」でMERV13のフィルターをチェックするレビット氏
Photo: David Williams for The Wall Street Journal空調設備会社を経営するガンドルフォ・スキアボン社長は、ニューヨーク市周辺で7月以降、ビルに既設された換気システムに300台以上の空気清浄機を取りつけたと話す。またスウェーデンの空気清浄機メーカー、ブルーエア(2016年に英蘭系食品・日用品大手ユニリーバが買収)は今年の売上高が3桁の伸びを示していると、同社の最高製品責任者ヨナス・ホルスト氏は述べた。
ホルスト氏は米国で購入される空気清浄機がいずれアジアと同水準になるとみている。「米国では清浄機の普及率が約15%だが、日本や韓国では約40%の家庭に空気清浄機がある」と同氏は話す。
室内の空気を分析するセンサー技術は、ごく一部の新築高級住宅にすでに導入されている。そうした技術を手掛ける会社の1つ、デロスは空気や水、光の質を監視・調整するシステムを販売する。住宅所有者はアプリを通じ、空気の質がいつ最適基準を下回ったかが分かり、その際はシステムが起動して換気が始まるという。
配管・空調設備を販売するファーガソン・エンタープライゼズの室内空調担当シニア・カテゴリー・マネジャー、ライアン・ドノバン氏は、近い将来、センサーの性能向上と価格低下が進み、設置業者の知見が高まり、住宅所有者がそれを求めるようになれば、問題を探知するだけでなく、必要な箇所を自動的に換気するなどの多機能を持つセンサー技術が広まるだろうと予想する。
「10年後にはインフルエンザウイルスが室内に侵入したと教えるセンサーが可能になると私は思っている」とドノバン氏は言う。
レビット氏は「レークハウス」のさまざまな機能により、建築環境評価のWELL認証で「ゴールド」を取得できるのではと期待する
Photo: David Williams for The Wall Street Journal室内の空気の質を大幅に向上させるには、建設業界が換気や冷暖房、フィルター処理、空気清浄を行うエネルギー効率に優れた方法を見つけることがカギとなる。
デベロッパーや技術者がその答えの1つと考えるのが、危機の際には空気の質の調節を加速させ(つまり多量のエネルギーを使用し)、安全な場合にはそれをリセットして省エネ設定に切り替える、ダイナミックなシステムを構築することだ。
ただ、パンデミックの衝撃がもたらした変化が長続きするかどうかは定かでない。蒸気暖房業界について24冊の著書があるダン・ホロマン氏は、1918年に流行したスペイン風邪の前後に書かれた技術マニュアルを調査した。当時のマニュアルには「新鮮な空気の移動」を論じた箇所が多かった。だがひとたび流行が終息すると、感染症に関する記述は一切なくなったという。
「ワクチン接種を受ければ、人々はこの出来事を忘れ、また価格の安さを求めるのではないか」と同氏は言う。
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