ランチタイムの雑談が懐かしい……。
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「雑談が足りてない。『どうでもいい話』がしたい」
オンラインでの打ち合わせが終わり、じゃあ締めくくろうかというタイミングで、ぽつりと知人が言った。
新型コロナウイルスが問題となる以前も、外出自粛でパソコン画面ごしのやりとりが中心になった今も、彼女が多くの人と会議や打ち合わせをする状況は変わっていない。
でも、「人に会える自由」がなくなった今だからこそ、ちょっとした冗談に笑いあえること、先々の約束を大切なものに感じるのだという。
新型ウイルスがもたらしている問題によって、私たちは人とのつながりの価値を改めて考えさせられている。これから先、人と人の関係は大きく変わっていくんじゃないだろうか。
不安定な時代だからこそ、人とのつながりの価値が高まる
この時期、メンタルが不調になる人も多い。
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「お友達と仲良くしましょう」
記憶にないほど小さいころから、そう、繰り返し教えられてきた。
でもなぜ、仲良くすることが大切なのか、はっきり教えてもらった記憶はない。
一つ言えるのは、人とのつながりは、不安定な時代を乗り越える力をくれるということだ。心理学の分野では、他の人からのサポートがあることが、幸福感を高めてくれること、想定外の状況に置かれたときのストレスを軽くしてくれることが明らかにされてきた。
さらに近年は、困ったときに助けてくれたり、励ましをくれたりする人間関係が、新たな挑戦や探索を支えてくれることも指摘されている。「失敗しても帰る場所がある」と思えることで、未知のことに踏み出しやすくなるというのは、実感にも合う。
コロナ以前から見えていた、日本人の「つながりの薄さ」
問題は、日本人が「人とのつながり」を持ちにくくなっていることだ。筆者の所属するリクルートワークス研究所は2019年12月に、全国の就業者を対象とするアンケート調査を行った。焦点を当てたのは、人とのつながりの実態だ。
調査結果によれば、ふだんの生活や仕事で、⑴ありのままでいられる「安全基地」のような性質、⑵同じ目的を持つ仲間としての性質のどちらか、または両方を備える人とのリレーションを、ひとつでも持つ人は、全体の約6割だった。つまり、仕事で日ごろ、さまざまなやりとりをしていると考えられる就業者であっても、4割の人がリレーションを保有していなかったのだ。
リレーションレスになりやすい男性
撮影:今村拓馬
なかでも、リレーションを持ちにくかったのが男性で、その割合は約半数に上った。その背景の一つが、職場での人間関係の希薄化だ。男性は職場で過ごす時間が長い傾向にあるが、職場でリレーションを持つ人の割合は女性と変わらず、約2割に止まる。働く時間の長さは、職場で豊かなリレーションを持つことには、つながっていなかったのだ。
2019年末には、「忘年会スルー」という言葉が流行した。仕事の後に、わざわざお金を払ってまで、上司や同僚と過ごしたくない。だから、忘年会を欠席する。そんな行動に、若手を中心に共感が集まった。
しかし、データを見てみると、職場で人間関係を築けていないのは、若手だけではなかった。若手、ミドルに分けて、職場でリレーションを持つ男性の割合を見たところ、ともに約2割と差がなかった。
バブル経済の崩壊後、企業は組織のスリム化や効率化を進めてきた。その一つの帰結として、職場の余裕が失われ、協力しあう雰囲気や若手を積極的に育成する風土が後退していると指摘されている。会社は、多くの人にとって、人間関係を築く場としての役割を果たしづらくなっている。
もう一つ、忙しい日々に追われ、男性が大切な人との時間を後回しにしている状況も見えてきた。親しい人とゆっくり過ごす時間を「確保できている」と答えた人の割合は、女性で32%に対し、男性で22%であった。家族・親族やくつろげる友人・知人とのリレーションを持つ人の割合も、女性と比べて男性ではっきり低い傾向がみられた。
親しい人との時間を先延ばしにしているうちに、いつのまにか大切な人とのリレーションを手放している。そんな状況が見えてきた。
「4つの小さな行動」がリレーションを作る
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それでは、これからリレーションを持ちたいと思ったとき、どうすればいいのだろうか。
アンケート調査の結果を分析したところ、4つの領域の行動がリレーションの保有と関わっていた。
そのうち1つめは、「自分を振り返る」ことに関わる行動だ。これまでやってきたこと、これからやってみたいことを考えたり、興味があることについて情報を集めることなどがここに当てはまる。
人は自分にとって重要と思うことに関わる情報を無意識に選択し、注意を向ける傾向がある。今、自分は何に興味があるのか、社会のどこに問題を感じているのか、これから学んでみたいことは何かをはっきりさせておくことで、自分にあったコミュニティに出合いやすくなるようだ。
2つめの行動は、「自分を伝える」だ。ちょっとした本音を教えてくれた友人に、親近感や信頼感を感じた経験はないだろうか。同じように自分の気持ちや関心があることを少しでも伝えれば、それに共感する人にも出会いやすくなる。実際に研究でも、自己開示は自分の気持ちの整理に役立つだけではなく、間接的に相手への信頼や好意を伝え、他者との関係を深める効果があることが明らかにされている。
3つめの行動は、「ちょっとした手助けをする」だ。アメリカの心理学者であるアダム・グラントは、自己犠牲を避けつつ他者に手を差し伸べられる人が、より良いつながりを作ることができると指摘している。同じように、人をよくみて困っていることがないか気にかけたり、何か役に立てることはないか考える行動は、リレーションを保有することと関わっていた。
4つめの行動は、「助言を求める」だ。自分の弱みをみせるようで、なかなか他人にアドバイスを求められない人がいる。でも最近の研究では、人は自分に助言を求めてきた相手に、能力があると思ったり、好ましい感情を抱きやすいことも分かっている。
困っている時に格好つけずに相談してみたり、その人にしかできない助言を求めることは、相手への信頼やその人が持つ知識への敬意を伝えることでもある。その行動が、助言を求める相手とのよい関係をもたすのだろう。
これらは外向的な性格だからできることだ、と思う人もいるかもしれない。そこで、外向性に関わる性格の特性が低い人だけに絞って分析を行ったところ、結果は同じだった。外向的な人でなくても、小さな4つの行動はリレーションを持つことと関わりがあった。
出所:リクルートワークス研究所『マルチリレーション社会 多様なつながりを尊重し 関係性の質を重視する社会』
外出自粛の今、リレーションを持つためにできること
今、人に自由に会えない制約と、先が見えない不透明さが、人とのつながりの意味を改めて突き付けている。しかし先に述べた4つの行動は、外出自粛を求められる状況でも、リレーションを持つためにできることがたくさんあることを教えてくれる。
「会えない時期があったから、豊かなリレーションを持てるようになった」
そう言うことができれば、「今」の位置づけは変わってくる。
まずは、本当は会いたいのに、後回しにしてきた人間関係がないかを考えたり、リレーションにつながる小さな行動を増やしてみてはどうだろうか。
本稿の分析の引用:リクルートワークス研究所『【提言ブック】マルチリレーション社会ー多様なつながりを尊重し、関係性の質を重視する社会ー』
(文・大嶋寧子)
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April 23, 2020 at 10:19AM
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