Search

沖縄慰霊の日 今こそ体験を継承したい - 西日本新聞

 太平洋戦争末期、沖縄では住民を巻き込んだ悲惨な地上戦が行われた。6月23日は、75年前の沖縄戦で日本軍による組織的な戦闘が終結した日である。

 「慰霊の日」のきょう、沖縄県は全戦没者追悼式を例年通り糸満市の平和祈念公園で開く。

 しかし新型コロナウイルス感染対策として大幅に規模を縮小する。安倍晋三首相や関係閣僚の招待も見送った。やむを得ない判断とはいえ、世代や地域を超えて戦争体験を共有する場である追悼式の縮小は残念だ。

 ひめゆり平和祈念資料館などの関連施設も一時休館を余儀なくされていた。コロナ禍に伴う移動の制限で、沖縄への修学旅行の延期や中止を決める学校が相次ぎ、本土の若者が沖縄戦体験者の証言を聞く機会が減っていることも気掛かりだ。

 沖縄県民が危機感を募らせているのは体験者の高齢化による沖縄戦の風化である。それにコロナ禍が追い打ちを掛ける。

 沖縄歴史教育研究会などが昨秋から今春に、県内の高校2年生を対象に実施したアンケートで「あなたの家族・親族で沖縄戦について話してくれる人がいますか」の質問に「いない」の回答が52・2%となり、初めて半数を超えた。沖縄県内でさえこの状況である。ましてや本土ではと考え込まざるを得ない。

 沖縄県民にとって沖縄戦は単なる過去ではない。沖縄には現在、日本国内の米軍専用施設の約7割が集中する。その原点が沖縄戦による米軍の占領だ。沖縄戦を知らなければ沖縄の現状を理解することはできない。

 安倍政権は今月12日、直前の県議選で米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対派が過半数を占めたにもかかわらず、コロナ禍で中断していた辺野古の埋め立て工事を再開した。

 秋田、山口両県に配備予定だった地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の計画停止とは好対照の、かたくなな姿勢だ。本土側の沖縄への無理解に乗じてはいないか。

 追悼式では毎年、県内の児童・生徒が作った「平和の詩」が朗読される。今年は高校3年生による作品が選ばれた。詩はお年寄りから沖縄戦について聞いた経験をこうつづる。

 「あなたがあの時/勇気を振り絞って語ってくれたおかげで/私たちは 知った/永遠に解かれることのない戦争の呪いを/決して失われてはいけない平和の尊さを」

 世代間や地域間の断絶によって沖縄戦が忘れ去られる時代が「新たな日常」になってはならない。大事なのは知ろうとする姿勢だ。体験者の高齢化を見据え、今後の継承にどう取り組むか、沖縄も本土も考えたい。

Let's block ads! (Why?)



"したい" - Google ニュース
June 23, 2020 at 08:43AM
https://ift.tt/3hTW4xS

沖縄慰霊の日 今こそ体験を継承したい - 西日本新聞
"したい" - Google ニュース
https://ift.tt/30GEsO4
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

Bagikan Berita Ini

0 Response to "沖縄慰霊の日 今こそ体験を継承したい - 西日本新聞"

Post a Comment

Powered by Blogger.