
小池知事が大曲医師と『NEWS23』に生出演 "反転姿勢”で小川彩佳に語ったこと(前編)
この記事の続いて「中編」を以下、続けたい。
小池知事が専門家である大曲医師と一緒にテレビのニュース番組で生出演してまで訴えた内容が続く。
小池知事の場合、これまでこうした番組への生出演となると知事選での候補として、あるいは都議選、衆議院選挙での党首としての役どころばかりで、どうしても「一方的な発言」に終始しがちでスタジオの出演者との「双方向のやりとり」に欠ける傾向があった。
それがこの日の『NEWS23』では小川彩佳キャスターはじめとする出演者たちとの「双方向のやりとり」が出来ていたことは新鮮な感じがした。
番組ではサブキャスターの山本恵里伽アナウンサーが図を示して、クラスターの封じ込めができていない現状について尋ねている。
クラスターのように感染経路がわかる場合には「封じ込め」が可能だが、感染経路が不明の人がどんどん増えている現状ではその先に感染経路がわからない感染者が複数いる可能性があり、それらの人がわからないところで次々に感染させている恐れが出てきている。
把握されていないクラスターが複数以上あって「封じ込め」が不可能になっているのでは?と指摘した。
(山本恵里伽キャスター)
「さきほどの飲食店でのクラスター感染の恐れが示されていたが、こういう情報は(知事には)入ってきているのでしょうか?
(小池知事)
「大曲先生もそのメンバーでご指導いただいているんですが、都の有識者会議でもこれらのことを分析する中で
若い人が感染源となっているケース多いのではないかということで
今回の『感染爆発重大局面』という中に
若い人に夜の外出を控えてほしいということを初めて加えた。
まさしく封じ込めで感染を拡大させないという、
そもそも若い人に自分たちが感染源であるという認識さえもない
ということで、ある意味、大きな警告を発したわけです」
小川キャスターが素朴な疑問を知事にぶつけた。
(小川彩佳キャスター)
「周辺県も含めて各知事が訴える『不要不急の外出を控えるように』というときの『不要不急』という意味は?
何をもってそう判断するのか?目安は何か?」
この後の小池知事の回答は若者たちにもわかりやすい言葉だった。
「今日、この時間に必ず出ていかないといけないのかどうか」
さすがテレビで鍛えた人である。
(小池知事)
「別の日に変えることができるのかどうかそこが判断につながるでのは?
まあ、結婚式とか、そのもの卒業式や入学式など、それぞれ学校そのものが工夫をしたりされている。
そういう形で行動そのものを自分で判断して
今日この時間に行かなくちゃいけないかどうか、
これを判断してほしい」
ここで政治記者としての経験が長いアンカーマンの星浩氏が口を開く。
(星浩アンカーマン)
「卒業式や謝恩会のシーズンですが、そのあたりはボーダーラインだと思うですが、
おそらく近所の買い物とかは大丈夫なんでしょうが、ただ、こういう時期なので親の介護とか病院の見舞いとかはギリギリのところだと思いますが可能であれば東京都の方からこういうこういうスタンダードでやったらどうですか?という目安を示していただけるとみんなわかりやすいかなと思いますが、その辺の工夫はいかがでしょう?」
これは番組側と知事サイドとの打ち合わせでもあったのだろうか。政治記者だったなら聞くべきところはもっと他にあったはずろうと筆者は感じたが、小池知事も厳しさのない質問にそう感じたのか余裕の笑みを浮かべながら回答していた。
(小池知事)
「そうですね。3つの『密』ということで『密集』『密閉』そして『密接』。この場面を避けていただきたい。
そう申し上げてきているわけだが、それもひとつの目安だと思う。
これも有識者会議の方でまとめて、国の方でまとめていただいた目安ではありますが、
逆に『それじゃあ、外に行ったらいいんだね?』という話になってきて、
目安を設けることが逆の行動を作ってしまう可能性もあります。
でもいろいろとみなさんにはわかりやすい説明をしていかなければと思っています」
ここでメインキャスターの小川彩佳キャスターが登場する。
(小川)
「そしてやはり気になりますのが、知事も3日前に言及された
『都市封鎖』ロックダウンの可能性。
昨日の会見でもありましたけど、この可能性はどのくらいだと考えればいいのか。
また封鎖されたときに、たとえばパリなどでは交通機関の制限などをしていますが、
どういった封鎖というのを考えているのか。
具体的にお話しいただけますか?」
その前のVTR映像では、都市の封鎖が人影がなくなったパリなどの様子が映し出されていた。
小池知事は日本においては政府にも自治体にもそうした権限がないと説明した。
(小池)
「基本的には日本の場合にはこれを実行するというのは法律的にも大きな課題はあります。
その中でもこれからの感染の拡大を防止するためにどうあるべきなのかというのは、
それぞれエビデンスや医療的な判断など含めてどこまで何をするかを決めていかなければならない。
そのときに国の方から連携、支援をいただくことによって、
効果のある対策をしていきたい。
少なくともパリであるとか、ニューヨークなどのような状況というのは
日本においては法律的には難しい状況です。
また、そうならないためにみなさんにご協力をお願いしている」
ここで再びアンカーマンの星浩氏が口を開く。
(星浩アンカーマン)
「先週の三日間(三連休)がゆるんだというのはどうしても反省材料にならないですかね?」
星氏は1週間前の三連休中に外出自粛などを呼びかけた他の自治体のトップに比べて、外出の自粛などを求めなかった東京都の対応にはやや批判的にコメントしていた。それだけに小池知事の反省の弁を引き出したかったのかもしれない。
(小池知事)
「そうですね。
ただ、今出ている(感染者の)数字というのは、まだ2週間ほど前の(接触による)数字です。
これから(三連休中の外出の結果による感染者などが)出てくるところかと思います。
いずれにしてもみなさんの行動によってこの感染拡大を防止することができる。
そのことはぜひみなさま方にご協力いただきたいと思います」
誰かウィルスをもっている人間と接触したとしても、実際には2週間程度の潜伏期間がある。
そのため、1週間前の三連休に関連して、小池知事が「外出自粛」や「イベント自粛」などを強く呼びかけず、結果的にそれが感染者を増やしているのかどうかが判明するのはまだ後1週間かかる。今の時点でそうしたことを知事がすべきだったのかどうかを批判すべきデータはないのだ。
その意味では小池知事の説明の内容は正確だ。
知事の姿勢を問う星氏の質問は軽くいなされてしまった格好だった。
この後小川キャスターがさらに質問を重ねた。
(小川彩佳キャスター)
「ちょっとうがった見方かもしれませんが、
昨日、オリンピックが延期と発表された後のこのタイミングだからこそ強いメッセージを発していけた。
そういったことはありますか?」
(小池知事)
「それはまったく関係ありませんね。はい」
小池知事も想定していたのだろう。
余裕をもって答えてこの質問をスルーした。
小池知事がオリンピックや再選出馬をめぐる自民党との調整などで三連休前に強い姿勢を打ち出せなかったのでは?という見立てはあるが、そのことの是非や真偽が本当に問われるのは、7月に予定されている都知事選のタイミングである。もし小池知事の対応の遅れで感染者増につながっていたのであれば、そのときにこそ追及すればいい。
今は小池知事には新型コロナウィルスの封じ込めで先頭に立って旗を振ってもらうしかない。それは国も自治体もメディアも一緒に力を合わせるしかないときなのである。
番組の中でも映像が出てきたが、夜の繁華街に若者たちが平時と同じように飲んで出歩いているという光景は、増え続ける感染者の数を冷静に見る限り、恐ろしい事態を引き起こしかねないのだ。
番組ではこの後ではテーマを「医療体制」に焦点を移してVTRを放映した。
根本的な治療方法が見つかっていない新型コロナ肺炎。
重症化した患者に使われている「人工呼吸器」や「人工心肺装置」。
東京だけ見ても数が限られている。一気に感染爆発が起きてしまうと一気に不足する事態が懸念されている。
「人工呼吸器」約3000台
「人工心肺装置」約200台
タレントの志村けんさんにも使われているという人工心肺装置はこの数しかない。
感染者が増えるとイタリアのように患者が満足に治療してもらえない「医療崩壊」の危険が迫っている。
都内の病院の病床(ベッド数)も、感染症に特化したもので「118床」しかない。
何も対策を打たなかった場合はピーク時に1日あたり「2万人超の入院患者」の発生が推計されている。
こうした現状に対して、小池知事は以下のように語った。
(小池知事)
「まず感染した方の症状によって分けていくということが必要になる。
集中治療室に入って、また感染症の病床。これらについては今後200から700を確保していく計画を進めています。
中ぐらいの症状、中等の症状の方には一般病床で300から3300という数字があります。
それからいちばん軽症の方々が病院のベッドを占めるよりは、別の場所に移っていただいて、
これ法律を変えなくてはいけない部分もあるんですが、ルールを変えるということで、
一般病床、もしくは自宅、またはホテルなど借りて進めていく。
これらについても確保していく作業をしているところです」
(小川キャスター)
「近々にそうした方針転換?」
(小池知事)
「1000を目指して作業しているところです」
東京都ではこうした計画実施に向けてすでに作業中だという。
こうなってくると誰が軽症で誰が重症なのかをどう見極めるのかという医師の判断が気になってくる。
(小川キャスター)
「どういう人が軽症だと判断するのかなど、線引きが難しいところになっていくのではないか?」
(大曲医師)
「もちろん個人個人の症状というのが重要になってくると思います。
軽く済んでいるのかどうか。
ひとつは酸素が要るのかどうか、というのはポイントですね。
酸素が要らなければ必ずしも病院にいる必要はないという言い方ができます。
もう一つは急に悪くなるリスクがあるかどうか。
それはおそらく年齢だったり、元々持っていらっしゃる病気によっては急に悪くなる方がいらっしゃるので、
そういう方々ならば病院にいた方がいいだろうという判断にもなるだろうと思います。
そういう形で(線引きを)選ばせていただくことになると思います」
前日の小池知事との記者の場でも感じたが、この大曲医師という人はとても説得力のある話し方をする。落ち着いた声で的確に話すので患者の側からすれば信頼できると感じるタイプだ。
大曲医師は前日の小池知事との記者会見の場で、若くても重症化した自分の姿を撮影してSNSに公開したイギリスの39歳の女性患者を「尊敬する」と話していた様子を日本テレビの『news zero』が放送していた。
この夜は『NEWS23』でもこの女性患者の映像を放映した。
(新型コロナウィルスに感染し重症化した女性=タラ・ラングストンさん)
「誰か・・・(咳き込む)
もし自分は大丈夫だと思っている人がいたら
私を見てください。
私は集中治療室にいます。
私はこれがなければ呼吸ができません。
本当にひどくなったら
あなたもここに来ることになるのよ。
いいですか?」
見ているのがつらくなってしまうほど壮絶な映像だ。
記者会見でもこの映像に言及して患者の勇気を称えていた大曲医師に対して、小川キャスターはこの後に改めてこの感染症の怖さを尋ねている。
(小川キャスター)
「大曲先生は治療の最前線に立っていらっしゃるわけですが、改めてこの感染症、実際どういったことが怖いのか教えていただけますか?」
(大曲貴夫医師・国立国際医療研究センター国際感染症センター長)
「特に若い方がそうなんですけど、この感染症は8割くらいの方は本当に軽いでんす。
ちょっとした風邪ですね。ただ、だらだら続く風邪なんですね。1週間か2週間で治っていく。
そういう意味は動けますし、みんな、この程度だったらいいかと思えるものかもしれないです。
ですが、残りの2割の方は悪くなります。
おおむね発症してから1週間後くらいで咳が出始めて、
急に息が苦しくなってくる
で、調べると肺炎がある。という形ですね。
本当に早いです。
悪くなるときのスピードが。
一部の方は先ほど写真が出ていたように人工呼吸器が必要になる。
というのがこの感染症の怖いところです」
小川キャスターは大曲医師の訴えをまとめたフリップを手に持ちながら話を聞いていた。
・感染者の8割が軽症
・2割は確実に入院が必要
・悪化のスピードが早い
(小川彩佳キャスター)
「最近の三連休の人出を見ていましても、こうした部分をまだ理解できていない、
ピンと来ていないという方がまだまだ多いのではないかなと観じるんですがいかがですか?」
(小池知事)
「特に若い方への情報発信というのが重要だと思います。
そのためにも若い方に届くメッセージを。
たとえばSNSなどを活用してお伝えしていく。
まずは自覚がなく、あちこちに活動広げる・・・
これをなんとか(防ぐ)、まず自覚を持っていただいて、
感染している、していないは別にして、
それでもやはり自分がひょっとして感染の源になってしまうかもしれない。
そういう思いを持っていただきたい」
「自分が感染源になってしまうかも」
小池知事がわざわざ深夜のテレビ番組に生出演してことは若い人たちに自覚を持ってほしいというメッセージだった。
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March 27, 2020 at 12:30PM
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