
<仙台いやすこ歩き>(125)いちば丼/新鮮な刺し身を豪快に

「こんなに広かったんだ〜」。スカっと晴れた空の下、見回せば、緑とビルの向こうに太白山も望め、開放感この上ない。2人が立っているのは、若林区卸町にある仙台市中央卸売市場の正門入ってすぐの橋の上。広い市場がよく見え、渡れば市場・食堂街であり、今回のお目当ては、その中の「いちば鮨(ずし)」だ。
お昼時を少し回った1時半。店内は、市場で働く人、観光で来ている人、夫婦連れなどの姿がちらほらで、程よくすいている。テーブルに座り注文したのは、一番人気と聞いた「いちば丼」。市場のいちば丼とあって期待は大きい。と、現れたいちば丼がテーブルにのるかのらないかのうちに、いやすこは「うわ〜!」と歓声だ。
広口の丼、その真ん中のエビがはみ出した豪快感。一体、何種類の刺し身がのっているんだろう。その一切れの大きいこと。ミル貝、マグロ、イクラ、イカ、サンマ、サーモン、ブリ、トビッコ、卵焼き、エビと10種類!口に入れると刺し身の厚くて甘くてとろけるおいしさに、心までとろとろだ。みそ汁も大ぶりのおわんで、こちらも通常の1.5倍はある。そして一口すすると、おいしいったらないのだ。ご飯も酢味控えめでネタのおいしさを引き立てる。
大満足の2人が、食後のお茶を片手に見回せば、お客さんはみんな帰り、カウンター内では水の音も気持ち良く掃除が始まっていた。あっという間に床からネタケースまできれいに磨き上げられる。
明日のステージが整ったところで、いちば鮨代表取締役である親方の鈴木謙一さん(40)に、いちば丼のおいしさのネタを聞くことに。鈴木さんが市場ですし職人として働き始めたのは20歳の時だ。そして3年前、長年勤めていた市場のすし店が店じまい。その同じ場所で独立し、スタートしたのだという。
市場の朝は早い。中央卸売市場の競りが始まるのが午前6時。「店は5時開店で、夜中の1時には店に入ってます」と生きの良い笑顔で話す。その日のネタは午前3時半に店に届くそう。というのも、前日に仲卸の人に欲しいネタを頼んでおくので、競りが始まる前にいい状態の魚介を仕入れ、店に届けてくれるのだ。競りの前にある売買は相対取引というらしい。そこから鈴木さんは魚をさばき、頭や内臓を取るなど荒仕込みをする。マグロなど大きな魚は4分の1から2分の1のブロック取りされたものが届き、刺し身やすしにするためのさく取りをする。「いちば鮨の名は、ここでやっているから付けられます。生きの良さが身上で、その日に売り切ることを大切にしています」
もう一つ大切にしているのは、米。「やはりお米がおいしくないと」と、いろいろ試し、ササニシキとつや姫をオリジナルブレンドしている。
「仙台市中央卸売市場の大家さんは仙台市です。ここでは下手なものは出せないし、いつ来てもおいしいねと言ってもらいたいですから」ときりり。11時間立ちっぱなしで仕事しているとは思えない元気な鈴木さんとお店の皆さんに見送られて外に出た。いい感じの風が吹いてきて、まるで遠い港町に旅に来た気分だ。
◎イチオシは宮城サーモン
仙台市民の食生活に欠くことのできない生鮮食料品。全国各地から集荷され、毎日出荷されるのが仙台市中央卸売市場だ。開設者は市で、1960(昭和35)年に認可されて水産物部を開設、その後に青果部、花卉(かき)部が設置され、75(昭和50)年に食肉部が増設された。
市場での売買には公正で効率的な取引が行われるよう、公開による競争で値を付けさせ、最高の値を付けた人に売る競り売りと、紙片に単価など必要事項を記入して卸売業者に渡し、一番高い値を付けた人が買う入札と、卸売業者と買い手が販売価格および数量について交渉の上に販売する相対取引の三つの方法がある。
ちなみに、いちば鮨のいちば丼のネタとしていつでものっているのはエビ、マグロ(赤身)、イクラ、卵焼き、そして親方がうまいとイチオシの宮城サーモン。それ以外は季節とその日の仕入れ次第で、秋ともなれば、希少なマグロ「ひがしもの」がネタになることもある。
◇
土地には、その土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター(愛称「みい」)とイラストレーター(愛称「画伯」)が、仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。
2020年09月07日月曜日
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September 07, 2020 at 01:30PM
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