35歳のとき、夫の無職をきっかけに「自分軸で生きる」と決め、料理動画の投稿を始めたおよねさん。インスタグラムに投稿した「肉巻きおにぎり」の動画が再生回数2500万越え、レシピ本「禁断の爆速ごはん」を出せば即重版と、現在は「爆速レシピクリエイター」として活躍しています。この連載では、紆余曲折あったおよねさんだからこそ見つけられた、人生が美味しくなるヒントをお届けします。今回は、人生の転機となった料理について。
これまで夫の無職や自身のキャリアでの葛藤、子育てや夫婦関係などについてお話をしてきましたが、みなさん、私が料理本も出している“爆速レシピクリエイター”だってこと、忘れていませんよね⁉(笑) 今日は私の人生を変えたともいえる「料理」についてお話しします。そして子どもの「食べない悩み」についても……。
中学生にして主婦目線⁉
小学生の頃、両親が共働きで忙しかった私は、放課後におばあちゃんちへ行くのが常でした。この祖母がとっても料理好き。いつも台所でなにか美味しいものを作っているんです。私もきぬさやの筋を取ったり、じゃがいもの皮をむいたりとお手伝いするうちに、すっかり料理に興味が湧きました。祖母とふたりでお総菜屋さんへ行ったとき、「これって何が入ってるんだろう?」と祖母に聞いたら「お店の人に聞いてごらん」と促され、“取材”したことも。料理の楽しさを教えてくれたのは祖母。大人になってわかったことだけれど、子どもに料理を手伝われるとよけいな手間も時間もかかるんですよね。それを好きにやらせてくれた祖母には本当に感謝しています。
中学に入ると、たまに家族の夕食を作るようになりました。「作るよ」というと親が千円くれるんです。それで食材を買って、のこりはお小遣いにしていいというルール。できるだけお小遣いを増やそうと、安い食材でいかにボリューミーに作れるかとか、冷蔵庫のあまりもので作れないかとか、中学生にして主婦目線が養われました(笑)。そのスピリットは今レシピを提案するときにも役に立っています。
うちの家族が、何を作ってもすごく喜んで褒めてくれるんです。一度、「チキンステーキの赤ワインソース煮」にチャレンジしたことがあって。赤ワインソースの正解を知らない中学生が作るので、案の定大失敗! 我ながらなんじゃこりゃ、って味だったんですけど、そのときでも家族は誰一人まずいとは言わなかったんです。そのおかげで、ずっと料理を好きなままでいられました。
ミールキットで気づいた料理愛
ところが大学生になると、友達とワイワイ飲み会する方が楽しくなって、全く料理を作らなくなりました。社会人になったらなったで、バリキャリに憧れる私は忙しくて自炊するひまなんてナシ。夫と付き合うようになってからも「一緒に住んだとしても私が平日全部料理作るとかありえないからね!」って言っていました。実際、同棲してからも、週末に大量に作り置きしたカレーを、平日食べたい人が勝手にチンして食べるっていう生活でした。
そして子どもが生まれ、ワンオペ育児になると効率ばかりを考えるように。ある日、料理も効率化しようと思って「ミールキット」を頼んでみたんです。食材があらかじめカットされていて、説明書どおりに具材を入れて加熱すればいいというもの。もちろん、便利な人にはとっても便利なものだと思うんです。でも、私は「な、なんだこれは……つ、つまらん!」と強烈に違和感を感じてしまって……。考えてみたら私は、「昨日の残りをアレンジして」とか「これににんにく足したらいいかも」とか、料理の中のクリエイティブ要素を楽しんでいたんですよね。説明書通りに作るミールキットには、その私の「お楽しみ要素」が見事にぜんぶ省かれていたんです。「私って、料理を楽しみたいんだ」と気づいた瞬間でした。
その後、無職になった夫が「自分の好きなものに忠実になろう」と決めてファッションがテーマのインスタグラムを始めた影響を受け、私も料理をSNSで投稿することに。ターゲットは自分と同じ「忙しくて余裕がないママ」に決めました。
一つ目の投稿は手作り冷凍餃子。こちらはそんなに反響はなかったのですが、転機となったのは二つ目の投稿。一つ目の冷凍餃子を作る際に余ったタネを利用した肉団子スープをTikTokで紹介すると「うちはこうしてます!」とたくさんコメントがついたんです。「このコメント欄見ているだけでも有意義」なんて感想もいただいて、「あ、私の目指すところはここだ!」ってひらめきました。みんなが地味に困っていることを解決するような発信。そのアイデアだったら、私出せるかも!
その後は、「洗い物がなるべく少ないレシピ」「一気に副菜まで完成するレシピ」などなど、自分自身の困りごとからひねり出したレシピを投稿。おかげさまでたくさんの方に見てもらえるようになり、料理を仕事にすることができました。
料理家の子でも食べない子は食べません
夕食は4~5品のおかずを作るというと、「さすが料理家!」「お子さんたちが羨ましい」「好き嫌いとかなさそう」なんて言ってくださるかたもいるのですが、重要な事実をお知らせします。食べない子は、どんな環境でも食べません(笑)。
とくに第二子である息子がほんとに食べない子でした。3歳、4歳のときがピーク。野菜なんてもってのほか。お肉もお魚もいや。唯一食べるのが納豆ごはんという時期もありました。しかも、保育園や外食では食べるんです。今日は食べてくれるかなと願いながら作った料理がほぼ手つかずでそのまま下げるとき……虚しいですよね。
でも私、途中で思ったんです。“これ、親が責任を感じる範疇を超えてる”って。なぜなら、同じ料理で育った長女はここまで小食ではなかったから。子どもの食べる・食べないはこんなに個体差があるものなんだ。そりゃそうだ、子どもだって意思があるんだから、無理やり食べさせることはできないよな。できないことに、責任を感じることはやめようって。つまり、超絶開き直ったんです(笑)。
それに、長女も小さいころは偏食でしたが、成長するにつれ、おなかがしっかり空くようになり、味覚が育ち、今では「お菓子よりご飯が食べたい」とまで言うように。大嫌いだった牛乳も小学3年生になった今では飲めるようになりました。そんな風に成長のなかで変わっていくものだから、近日中に解決せねばという気持ちは捨てていいと思います。息子も最近では「保育園で食べたひじきの煮物がおいしかったから作って」なんて言うように。ちょっとずつ食に興味が出てきて、ご飯を食べることに前向きになってきたと感じます。
また、食事中に動画やスマホを見ることをやめたのも大きかったと思います。それまでは子どもはYouTube、親はスマホと、家族ばらばらのものに集中しながらご飯を食べ、会話もあまりない状態でした。忙しかった夫が働き方を変えて19時に帰れるようになり、せっかく一緒に食卓を囲めるようになったのに、これではよくないと「ご飯のときくらいYouTubeも携帯もやめてお話する時間にしたい」と子どもたちに話してみました。すると二人とも納得してくれ、意外とすんなりYouTube断ちできました。その後は学校で起こった出来事を姉弟で競うように話してくれるように。食事の時間がぐっと楽しくなりました。
最近、娘は私の仕事に興味津々。おばあちゃんが私にしてくれたように、いつか子どもたちに料理の楽しさを伝えられたらなと思います。料理が楽しいと、毎日が楽しくなるから。
さて、次回はアラフォーのからだの向き合い方についてお話する予定です! お楽しみに。
今回紹介するレシピは、「甘辛チキチキボーン」。これだけは息子もぱくぱく食べてくれたので、頼みの綱のメニューでした。まな板&包丁いらずで揚げ物なのに10分で出来ちゃうんですよ。
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著者:およね
出版社:主婦の友社
定価:1,595円(税込)
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