加齢とともに心身の活力が低下する「フレイル(虚弱)」を食で防ごうと、奈良県の管理栄養士とフレンチで腕を磨いたシェフがレシピ集を作った。外出の機会が減ったことで広がった「コロナフレイル」に歯止めをかけたいと願っている。
「豆乳茶わん蒸し」や「団子とキャベツのスープ」、「サバのトマト煮」――。冊子「フレイル予防 レシピ集」は、最大28グラムのたんぱく質が取れる6種類の料理を紹介している。作り置きができるほか、10分で完成する料理や包丁を使わないものも。栄養ケア・ステーション「いーと奈良」(大和郡山市)の管理栄養士で、監修者の一人、藤村真依さん(44)は手軽さにこだわったと話す。
栄養ケア・ステーションは管理栄養士が地域の人の食や栄養の相談に乗る場所で、日本栄養士会が認定。県内には4カ所ある。
藤村さんは訪問支援の現場で、一人暮らしや体力の低下に伴い食生活がおろそかになる人を見てきた。コロナ下では自宅に閉じこもりがちになり、フレイル予防の柱となる「栄養」「運動」「社会参加」が十分にできない人が増えたという。
奈良市が2020年に行ったアンケートでは、回答した65歳以上の4606人のうち38・4%が、コロナ前の19年と比べて日常的な買い物などを含む外出回数が減ったと回答している。
こうした状況を改善するきっかけにしたいと冊子作りを考えた。「食への関心が薄い人にまず『簡単でおいしい』体験をしてほしい。そこから健康的な生活につなげてもらえれば」と話している。
フレイルは放っておくと介護が必要な状態になる。地域の人が住み慣れた街で長く暮らせるようにと、栄養を考慮した弁当を対面で届ける配食に取り組むレストランがある。レシピ集に協力した「シブレット」(奈良市学園大和町5丁目)だ。
日曜祝日を除く毎日、市内の住宅を中心に20軒ほどに弁当やおかずを配達している。ある日のおかずは、豆やタケノコ、鶏肉を使った7品。柳生や月ケ瀬地区の野菜を仕入れ、無添加でできるだけ家庭に近い味を出す。
オーナーシェフ、和田容昌(よしまさ)さん(57)は、大阪の有名ホテルで修業し、フランスでも学んだ。1995年にこの店を持ち、フランス料理へのハードルを下げたいと和食のおかずを扱い始めた。配食は20年前から。ケアマネジャーの知人の頼みがきっかけだった。
配食が貴重だった時代は50軒を抱えたことも。一手間かけた味と栄養バランスを考えたメニューが自慢だったが、当初は味や食材への細かい注文が続いた。「落ち込みましたが、要望は体調や好みがあってのもの。一人ひとり違うと納得すると、応えるのがうれしくなりました」
糖尿病や腎臓病に対応したメニューも研究。7年前、早朝から仕込みがある配食とディナー営業との両立が難しくなり、配食を選んだ。
いま、利用者は高齢者が中心だ。「一人暮らしのお年寄りがずいぶん増えました」と、毎日2時間以上かけて配達する妻の由紀子さん(51)。
奈良市では、1995年からの20年間に高齢の単身世帯が3倍に増加した。フレイル予防の「社会参加」には人との会話が含まれる。由紀子さんは自分で配達し、玄関先で利用者と顔を合わせることをやめたくないという。
店は夫婦2人で切り盛りしている。「必要なことだけど、なんせギリギリ。地域の人が困った時、台所になる店がもっとあっていいんじゃないでしょうか」と容昌さん。地域に根ざした店が増えれば、自立した生活を続けられる人も増えると考えている。
冊子「フレイル予防 レシピ集」は無料で、送料のみ必要。希望者は平日午前9時~午後5時に、いーと奈良が入る「在宅医療センター悠」(0743・55・5327)へ。(富岡万葉)
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