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伝統の作刀技術、次世代へ 「挑戦を後押ししたい」 - 朝日新聞社

 弘前藩の藩政時代から培われた伝統の作刀技術を受け継ぐ弘前市の「二唐刃物鍛造所」。吉沢俊寿(よしざわとしひさ)さん(62)は、10代で鍛冶(かじ)場に入って40年以上、刀鍛冶の高度な技法で精巧な刃物を生み出し続け、社長として後進の育成や技術の継承に取り組んできたとして今月4日、今年度の青森県文化賞を受賞した。

 受け継がれてきた高度な作刀技術を戦後は包丁などの刃物づくりに、さらにその金属加工技術を建築用鉄骨製造に生かす二唐刃物鍛造所は、5代目の刀匠、二唐国俊が1949年に設立した。その鍛造所で刃物づくりの道を歩み始めたのは14歳の頃だった。叔父で6代目の国次や母に勧められ、迷わず鋼をたたく「つち打ち」や、「炭くだき」を手伝い始めたが、実は「ものづくりが苦手だった」。

 しかし、「試行錯誤して自由に作っているときの高揚感、作ったものが評価され売れたときの達成感。不器用さが幸いしたのか、やればやるほどひきこまれた、あっという間の40年」と受賞を喜ぶ。

 大量生産品の普及などで一時、会社全体の数%まで縮小した刃物部門の売り上げだったが、今年は3割近くを占めるまでに成長した。飛躍を支えるのは、細部までこだわった刃物のデザインや、鋼と鉄を打ち合わせ切れ味と耐久性を両立させる鍛接など伝統と経験に裏打ちされた高い品質。とくに、幾重にも重ねた鋼を材料に、刃物などの表面に波紋状の模様を浮かび上がらせる独自の技法「暗紋」が織りなす独創的なデザインは、海外からも引き合いが相次ぎ、生産が追いつかないほど評価が高い。

 「受け継ぐだけでは生き残れない。新しいものを創り続けたい」。そんな思いを強くしたのは、弘前商工会議所が2007年にスタートさせた津軽打刃物のブランド化プロジェクトだった。その一環で出展したフランスの国際展示会「メゾン・エ・オブジェ」では、「世界中から集まったデザインに圧倒され、刺激を受けた」。一方で出品したペーパーナイフなども「反応は良かった。世界でも勝負できる」と意を強くした。

 新たな挑戦を支えた礎は大学卒業後、22歳で入社した二唐刃物鍛造所で、東京など各地の物産展で自社の刃物を売り歩いた20~30代の経験にあると振り返る。「デパートや物産市、粋を集めたいろんなものに触れ、人と出会った。そして、読書やショッピング。刃物以外のものを見聞きした蓄積から新しい発想が生まれる」という。

 社長について20年。刃物部門に5人、鉄構部門に11人の意欲あふれる人材を率いる7代目として、次世代の育成にも力を注ぐ。刃物部門では長男と三男が新たなものづくりに挑み、弘前市の地域おこし協力隊として修業に励む2人の若者も、隊員の任期を終える来春から社員として仲間に迎える準備を進めている。

 「鍛造は刃物に限らず様々なものを形作る原点でもある。いろんな人やものと出会える機会をつくり、ものづくりへのチャレンジを後押ししたい」と期待を込める。「なんといっても人材を育てる。そして何百年も続く鍛冶屋の文化をつないで欲しい」(林義則)

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November 08, 2020 at 08:30AM
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