某月某日、少し前のことになるが、パリを離れ、南仏に健康管理のために奥さんと引っ越したお弟子さんであり、元秘書だった長谷っちこと、長谷川さんが、久しぶりに元気な姿を見せてくれた。(今回来仏の目的は二つ、一つは、彼の後任の岡っちでは、わからない問題が起こったので、その解決のために。もう一つは、書き上げた大長編小説をぼくに届けるために・・・)
ということで、喜んだのは三四郎であった。
身体を壊したのは事実だが、空気が悪く、いつもどんよりと暗いパリに見切りをつけての南仏移住のようであった。
太陽を求めたい気持ちはよくわかる。ま、繊細なのだ。ぼくがノルマンディに移住したように、彼はもっと南、イタリアとの国境近くの村へと、居をうつしたのだった。
「先生、日記は欠かさず読んでおりました。でも、そこに自分がいなくなり、ちょっと寂しかったです。あはは」
前は毒舌なおやじだったが、南仏の太陽を浴びて、ちょっと肌がブロンゼ(小麦色)になり、健康そうな、いい感じになっていた。
「やせたね、体調はどう?」
「悪くないですよ。いつも山道を歩いています」
「すごいね、この小説、これ、何枚あんの?」
目の前にぼんと置かれた印刷された小説の束を掴んで、ぼくは訊いた。
「原稿用紙換算枚数で、500枚です」
「おお、どこかに応募するの?」
「悩んでいます。先生、一度、読んでもらいたくて」
彼は、だいたい、印字して原稿を持ってくる昔気質の作家なのであった。もちろん、必ず、読むよ、と伝えて、原稿を預かることにした。
小説家になるというのは、簡単なことじゃない。ゼロから1を生み出さないとならない仕事なので、根を詰めすぎると、身体も心も壊れてしまう。
ともかく、体調崩してから、お酒はやめた、という長谷っち。(彼はちょっと酒乱気がある。あはは)
ぼくが、おいしい紅茶とサンドイッチを作ってあげたのだった。ほかに、サラダも!
ということで、今日は、辻パリ事務所のまかない料理の作り方、講座~!
カリーブースト編なのであーるぱちーの!
長谷っちが、キッチンまでやってきて、立ち話をしながら、ぼくは料理をしたので、ちょっと写真がぶれておるが、ご愛敬、ということで、まずは、ソーセージに切れ目をつけて、良く焼きにする。
できれば、ミルクパンは、オーブンなどでちょっと軽く焼き温めをしておくとよい。(かたくならない、ように気を付けてください)
千切りキャベツを、塩胡椒&カレー粉で炒める。(これだけでもおいしい)
カレーマヨネーズを作っておく。マヨネーズにカレー粉、醤油数滴をいれて、混ぜ混ぜ。
パンに切り目をいれ、そこにマスタードを塗り、まず、キャベツを敷き詰め、ソーセージを挟んで、カレーマヨネーズとケチャップをかければ、完成なのだ。
これが、ミルクパンとの相性抜群なのであーる。
紅茶を飲みながら、岡っち、長谷っち、ぼく、&、さんちゃんで、和やかなランチタイムとなったのであった~。
※ できれば、一度、この状態、段階で、オーブンに再投入し、2分程度、温めて!
結局、一つじゃ足りなくて、岡っちと長谷っちは、お替りをしました。あはは。カリカリ、スパイシーに仕上げるのが、おかわり、のコツです。
「パリには戻らないんだね」
「そうですね。今は、英語翻訳、フランス語翻訳の仕事があるので、都会に出なくてもやっていけるんです。コリンヌ(奥さん)も働いていますし、田舎ですからね、生活費がかかりません」
長谷っちは、現在、大企業の翻訳を生業としている。手堅い仕事だということだった。
「それがいいね」
「先生はノルマンディ永住ですか?」
「永住かどうかは、誰にも決められないけれど。息子がね、フランスにいてほしい、って言うからさ。それと、まだ、元気だし、世界を相手に創作活動をもっと広げたいので、フランス拠点が、ちょうどいいんだよね。今しか、できないことがあるじゃん」
こういう話しを、食事しながら、小一時間続けたのだった。
次の個展用の絵が事務所の壁にいくつか、飾ってあったので、それを見つめて、はー、とため息をついていた。
「しばらく、先生は、絵ですかね」
「どうだろうね。神のみぞ知るかな。小説はゆっくりやるよ」
新しい油絵が壁に、数点、すでに、並んでいるのであった。
「もし、許されるなら、その辺を三四郎と散歩したいんですけど」
岡っちが抱える仕事引継ぎ問題が解決した後、長谷っちが言った。
「もちろん。助かるよ」
「ありがとうございます」
長谷っち、三四郎のことがとっても好きなのだ。
出かけたら、一時間ほど、戻ってこないので、心配した父ちゃんであった。
もちろん、戻ってきましたが、さんちゃん、泥だらけでした。何して、遊んだのかなァ~???
笑。
何はともあれ、久しぶりに弟子一号の笑顔も見れたので、嬉しくなった父ちゃんなのでありました。
今日も読んでくれてありがとうございます。
長谷川さの小説、読み始めましたが、実に、丁寧に書かれていて、レベルがひじょうに高かったです。時間をいつもの数倍かけた、という自信作、頼もしいですね。やはり、いい作品を仕上げるのに、時間が大事なんです!!!
体調はすっかりよくなった、とのことでしたが、やはり、パリに戻ると、速度についていけず、また具合が悪くなりそうなので、自分には田舎があっている、と言い残して帰っていった、相変わらずの風来坊、長谷川さんでありました。正解です。田舎で、コツコツと、小説を書き続けましょう。
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